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会計士試験の勉強記録|売買還元法・平均原価法・低価法の違い

スタディングで会計士試験を勉強しています。売買還元法の勉強で少しつまづきました。完璧に理解したわけではないけれど、とりあえず問題を自力で解けるくらいの知識はつきました。

この記事では、会計士試験の学習中に私がつまずいた「売買還元法」と「平均原価法」「低価法」の使い分けについてまとめました。特に、商品評価損を「把握する場合」と「しない場合」で処理が異なる点が重要です。

目次

売買還元平均原価法

  1. 商品分析をして「売価合計」と「原価合計」を求める
  2. 売価合計と売上高から、期末商品帳簿棚卸高(売価)を求める
  3. 期末商品帳簿棚卸高(売価)に「平均原価法の原価率」を乗じて、期末商品帳簿有高(原価)を求める
  4. 原価合計と期末商品帳簿有高(原価)から、売上原価を求める
  5. 期末商品帳簿棚卸高(売価)、期末商品実地棚卸高(売価)、平均原価法の原価率から、棚卸減耗損を求める
  6. 商品評価損を調べる
    ・期末商品実地棚卸高(売価)×平均原価法の原価率>賞味売却益のとき、商品評価損=期末商品実地棚卸高(売価)×平均原価法の原価率-賞味売却益
    ・期末商品実地棚卸高(売価)×平均原価法の原価率<賞味売却益のとき、収益性は低下していないので、仕訳はしない。

1.商品分析をして「売価合計」と「原価合計」を求める

まず最初に行うのが「商品分析」です。これは、商品の種類ごとに分類し、販売価格(売価)と仕入原価(原価)を集計する作業です。

この時点で、売価合計と原価合計の比率(原価率)が計算できるようになります。これが後の計算に必要です。

2.売価合計と売上高から、期末商品帳簿棚卸高(売価)を求める

次に、問題文にある「売上高」と売価合計をもとに、帳簿上の期末在庫の売価(=期末商品帳簿棚卸高)を求めます。

計算式:
期末商品帳簿棚卸高(売価)=売価合計-売上高

3.平均原価率を乗じて、期末商品帳簿有高(原価)を求める

帳簿棚卸高(売価)に、先ほど求めた平均原価率を乗じることで、原価ベースでの帳簿在庫を求めます。

計算式:
期末商品帳簿有高(原価)=帳簿棚卸高(売価)×原価率(平均原価法)

4.売上原価を求める

売上原価は、原価合計から期末商品帳簿有高(原価)を引くことで求めます。

計算式:
売上原価=原価合計-期末商品帳簿有高(原価)

5.棚卸減耗損を求める

棚卸減耗損とは、帳簿上の数量と実地棚卸の数量が合わないときの差額です。

計算式:
棚卸減耗損=(帳簿売価-実地売価)×原価率(平均原価法)

この「実地売価」は、問題文に与えられた実際の期末棚卸データから読み取ります。

6.商品評価損の有無を判断する

ここがポイントです。商品評価損の要否は、「期末商品の帳簿評価額」と「賞味売却価額」を比較して判断します。

  • 帳簿評価額>賞味売却価額の場合:差額が商品評価損になります。
  • 帳簿評価額≦賞味売却価額の場合:収益性は低下していないため、評価損は計上しません(仕訳なし)

売買還元低価法(商品評価損を把握する場合)

  1. 商品分析をして「売価合計」と「原価合計」を求める
  2. 売価合計と売上高から、期末商品帳簿棚卸高(売価)を求める
  3. 商品評価損を把握する場合、期末商品帳簿棚卸高(売価)に「平均原価法の原価率」を乗じて、期末商品帳簿有高(原価)を求める。
  4. 原価合計と期末商品帳簿有高(原価)から、売上原価を求める。
  5. 縦が原価率、横が売価を表す面積図を描く。この面積図で、棚卸減耗損、商品評価損の計算方法を覚える。
  6. 棚卸減耗損=(帳簿売価-実地売価)×平均原価法の原価率。実地売価は問題文の資料として提示されている。
  7. 商品評価損=実地売価×(平均原価法の原価率-低価法の原価率)。商品評価損を把握する場合、低価法の原価率は、商品評価損を求めるときに使う。

1.商品分析で「売価合計」と「原価合計」を求める

ここは平均原価法と同様です。まずは基本となる「売価合計」「原価合計」を整理しましょう。

2.期末商品帳簿棚卸高(売価)を求める

こちらも計算式は同じ:

期末商品帳簿棚卸高(売価)=売価合計-売上高

3.平均原価率を使って、期末商品帳簿有高(原価)を求める

ここがポイント。「商品評価損を把握する場合」には、原価率(平均原価法)を使用して、期末帳簿在庫(原価)を計算します。

期末商品帳簿有高(原価)=帳簿棚卸高(売価)×原価率(平均原価法)

4.売上原価を求める

計算式は変わりません。
売上原価=原価合計-期末商品帳簿有高(原価)

5.面積図を使って理解する

この単元の理解を助けるのが、「原価率を縦、売価を横にとった面積図」です。この図を活用して、棚卸減耗損と商品評価損の位置関係を視覚的に捉えましょう。

6.棚卸減耗損の計算

計算式:
棚卸減耗損=(帳簿売価-実地売価)×平均原価率

「帳簿売価」は売価合計-売上高、「実地売価」は問題文にある実際の数値です。

7.商品評価損の計算

ポイントは、2つの原価率を使うことです。

計算式:
商品評価損=実地売価×(平均原価率-低価法の原価率)

この式で、商品の実地価値が下がっている場合の損失を把握できます。

売買還元低価法(商品評価損を把握しない場合)

  1. 問題文に、「棚卸減耗損の算定で、低価法の原価率を用いること」と指定されている場合、「商品評価損は把握されない」。
  2. 商品分析をして「売価合計」と「原価合計」を求める
  3. 売価合計と売上高から、期末商品帳簿棚卸高(売価)を求める
  4. 商品評価損を把握しない場合、期末商品帳簿棚卸高(売価)に「低価法の原価率」を乗じて、期末商品帳簿有高(原価)を求める。
  5. 原価合計と期末商品帳簿有高(原価)から、売上原価を求める。
  6. 棚卸減耗損=(帳簿売価-実地売価)×低価法の原価率。実地売価は問題文の資料として提示されている。

1.「評価損を把握しない」指定があることを確認

問題文に「低価法の原価率を棚卸減耗損の算定に使用せよ」などの指示があるときは、商品評価損を計上しないケースです。

2.「売価合計」「原価合計」を求める

これはいつも通りの処理です。

3.期末商品帳簿棚卸高(売価)を求める

期末商品帳簿棚卸高(売価)=売価合計-売上高

4.低価法の原価率を使って、期末帳簿有高(原価)を求める

ここでは低価法の原価率を使います。
平均原価率とは異なる比率になるので、見分けに注意しましょう。

5.売上原価の計算

売上原価=原価合計-期末商品帳簿有高(原価)

計算の流れは他と同じです。

6.棚卸減耗損を低価法原価率で計算する

評価損を把握しないため、棚卸減耗損だけを計上します。

計算式:
棚卸減耗損=(帳簿売価-実地売価)×低価法の原価率

まとめ|売買還元法・平均原価法・低価法の整理ポイント

  • 原価率の使い分け(平均か低価か)と商品評価損の有無に注目すること。
  • 低価法には「評価損を計上する/しない」の2パターンがある。
  • 面積図を活用すると、視覚的に理解しやすい。
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